■RZ-030-C ガンバースト(ガンスナイパー砲撃戦仕様)
後方支援から突撃戦までこなすオールラウンドタイプの小型ゾイドとして知られるガンスナイパーの設計を見直し、ミドルレンジ~ロングレンジにおける火力支援を主眼として開発されたのが、この「ガンバースト」である。
ベースとなったガンスナイパーは、最新鋭のゾイド工学の成果を盛り込んで開発された、共和国軍の量産ゾイドとしては極めて野心的な機体であった。そのため、不安要素も少なくなかった。オーガノイドシステムは不安定で、充分な性能を発揮できないこともあった。搭載火器が多いこともひとつの特長であったが、戦術システムの作り込みが充分ではなく、同時に捕捉、攻撃可能な目標の数は決して多くない等、幾つかの弱点も抱えていた。
そうした弱点は、ひとえにガンスナイパーの量産化を急いだために発生したものであった。それらを補うために、ワイルドウィーゼルと呼ばれるユニットを増設し、索敵能力および戦術システムの処理能力強化、火力増強を狙った改良型ガンスナイパーが生み出され、戦線にも投入された。しかし、その絶対数が少なく、局地的な戦闘では活躍したが、戦争全体に影響を与えるには力不足といわざるを得なかった。
そこで、搭載火器を新開発の中性粒子ビーム砲に限定し、高機動砲兵ゾイドとしてガンスナイパーを全面改修するプランが提案された。主砲である中性粒子ビーム砲は、オーガノイドシステムによって強化されたコアに直接接続してエネルギー供給を受け、中型ゾイドをも凌駕する高出力を得ることができる。照準システムと戦術システムとのマッチングには細心の注意が払われ、ガンスナイパーの標準装備であったスナイパーライフルと同等か、それ以上の命中精度を確保することが目標とされた。なお、尾部のスナイパーライフルはオミットされており、本機においては単なるスタビライザーとしての役割を果たすのみである。
ガンバーストは、二脚タイプならではの高機動性と、優れた火力により、共和国軍の対地攻撃能力を大幅に補強するはずであった。だが、変化の激しい戦局に、開発スピードが追いつかず、数機の試作機が実戦投入されたにとどまっている。