■機体説明
共和国軍技術部によって開発中の、新鋭陸戦用ゾイド。共和国軍は、エウロペ戦線において絶対的とも言える制空権を有しながら、それを有効に活用できるだけの地上戦力を持っていなかった。重要な戦略拠点に対しては、高速戦闘ゾイドを主軸とする機動部隊を投入し、一定の戦果をあげてはいたものの、制圧した拠点を占領、維持することは、そもそも電撃戦を得意とする高速戦闘ゾイドには不向きな任務であり、そのため一度は制圧しながらも帝国軍部隊に奪還された戦略拠点はひとつやふたつではなかった。そこで、機動部隊による電撃戦の後に、可及的速やかに戦場へ進出し、制圧拠点を長期にわたって占領、支配することのできる陸戦ゾイドの必要性が指摘されていた。そうした要求に基づいて開発されたのが、ユーオプロスである。本機は、エウロペ大陸に生息する曲竜類型ゾイドをベースとして開発された、多目的戦闘ゾイドである。機体上部に設けられたハードポイントに、任務に応じたオプション兵装を装備することによって、多様な作戦行動に対応可能となっており、完全武装の兵士8名を輸送可能な歩兵戦闘車輌としての性格を基本に、軽戦闘/偵察型、対空型、駆逐型、移動指揮所型など、様々なバリエーション展開が考えられている。
ガンブラスターの再販をきっかけに、曲竜をモチーフとしたゾイドを考えてみようという気分になり、何度も試行錯誤を繰り返していました。今回、カドゥさんとのコラボレーションもできて、非常に思い出深いゾイドとなった「ユーオプロス」に自分なりの決着をつけるべく、新たにイラストを描きました。
設定的には、以前からAFVということを念頭においていました。その上で、マルチ火器プラットフォームというか、様々なオプション兵装を換装することによって、多用途に運用できるゾイドである……というのが、ユーオプロスの基本コンセプトです。そういう意味では、歩兵戦闘車とか兵員輸送車としての機能は、むしろ副次的なものであると思っていました。が、最近では考えが少し変わってきて、機体説明にもそれが反映されています。戦争というものは機甲部隊、機械化部隊だけで出来るものではありませんから。
話を戻しますが、ユーオプロスが火器プラットフォームとして機能するためには、十分な防御力が必要であることは言うまでもありません。そこで、野生体本来の強固なボディの上からモジュラー化された積層装甲パネルを装着し、優れた装甲防御を確保している、という設定を考えました。積層装甲パネルは、損傷した場合の交換が容易であり、整備性の向上につながります。無論、それだけでは不十分な場合には、更にERA(爆発反応装甲)や簡易式Eシールドユニット等のアドオン装甲類を取り付けることも可能です。これにより、同クラスの戦闘ゾイドの中では比類なきレベルの装甲防御を達成しているわけです。
絵的な面では、今まで描いてきたスケッチ、カドゥさんのCG版、そしてユーオプロケファルスの復元図などを参考にして、再構成してみました。その苦労の甲斐あって、これまでで一番納得行くスタイリングを打ち出せたと思っています。全体的なバランスについては、某恐竜模型サイトの復元模型を参考にして、各部パーツの擦り合わせを行いました。基本的には、2001/11/04版のスケッチをベースに、カドゥさんの制作されたCGによって提示されたデザインをフィードバックしています(いいとこ取りとも言う)。カドゥさんのCGに刺激を受けた部分を億面無く取り込みながら、それを自分なりに消化(あるいは、昇華)していくためには、やはり相応の時間が必要でした。
今回のイラストでは、敢えて背中に武器を搭載しませんでした。手抜きと言われても仕方ないとは思いますが、これは多目的に運用可能である(というより、多目的に運用したい)というコンセプトを語るための、ひとつの表現方法だと好意的に捉えていただけたら、と願う次第です。このイラストを見てくれた人が、それぞれの発想でオプション兵装を重ね合わせてくれたらよいなと思っています。
>>以前のスケッチ(2001年10月3日~2002年4月12日)